古式ムエタイ入門
Long & Winding
Road To Muay Boran Master
はじめに
古式ムエタイ(ムエボラン)の技は、外部の者に知られないようにするため、書物ではなく、主に口頭で伝えられてきました。また、度重なる隣国ビルマとの戦争により、残念ながら、わずかに存在した資料もほとんどが焼失しているとのことです。
現在、日本国内でムエボランを学べる場所はごくわずかです。私はタイ政府公認の指導者協会認定インストラクターである岡田敦子先生に指導して頂いている単なる日本の一生徒にすぎないのですが、ムエボランに興味関心のある同志の皆さんに向けて、拙いながらも日本語で技や型などの紹介を目的としたムエボランの資料管理サイトを作成しようと思いました。
空手、柔道、テコンドーなど、武術の技の名前がその国の言葉で伝えられているように、タイの国技であるムエタイ・ムエボランも基本はタイ語で学ぶべきであるとクルー(指導者)達は考えているようです。ムエボランを学んでいく上で、普段あまり馴染みのないタイ語で表現される技の名前を覚えるのは、初めはなかなか大変なことかもしれません。
このサイトでのカタカナ表記は、学習する上での便宜的な表記にすぎませんので、正確な発音等は他のタイ語学習サイト等の資料をぜひ参考になさってください。
なお、技の動きをよりわかりやすく紹介するために、動画や写真を多数掲載したいという私の希望から、日本ムエタイ協会副会長の岡田敦子先生とフルコム社の野沢靖尚さん、格闘技インストラクターの小林優憲さんに撮影協力をお願いしました。私の曖昧な知識や疑問を補うべく、いろいろとアドバイスも頂くことができ、心より深く感謝しております。また、この他にもムエボランを一緒に学んでいる先輩や仲間の練習風景の動画や写真も使用させて頂いています。
To our Muay Boran friends of the world
Welcome to my website. My name is Marr. I'm just one of the students who are taught by Kru. Atsuko Okada specialized in Muay Boran in Japan. I practice Muay Boran with fascination and awe, and hit on the idea of imparting her important lessons and further illuminating her teachings to our Muay Boran friends, specifically aimed at Japanese. Because there is quite little data or text of Muay Boran in Japanese. So my site is basically made in a Japanese-language version only. Sorry for it. But I believe you can enjoy many video & photo instructions.
古式ムエタイ(ムエボラン)について
古式ムエタイ(ムエボラン)とは、現在の競技化されたムエタイ以前に行われていた素手素足を主とする禁じ手のない戦闘技法です。
その歴史には諸説ありますが、スコータイ時代(1238~1377)は、「マイシーソーク」と呼ばれ、アユタヤ時代(1350~1767)からラタナコーシン時代(1782~現在)初期にかけて、「パフユ」と呼ばれるようになり、国名がサイアム(シャム)からタイへ変わった後は、「ムエタイ(タイ国の拳法)」と呼ばれるようになりました。
スコータイ時代は、各地で民族間の紛争が絶えず、その頃から軍人だけでなく民間人も自己防衛手段としてムエボランを訓練し始めていたようです。こうした背景で生まれたムエボランは、実戦で使える殺人武術とも言えるでしょう。
できるだけ自分の重心を低くし、相手に崩されないようにするこの実戦武術から、投げ技や関節技などの危険な技を取り除き、グローブの使用や、体重制やラウンド制などの明確な競技ルールを設け、スポーツとして体系化したのが、現在行われている競技・試合形式のムエタイです。
ムエボランは死者が続出したことから一時期禁止されていましたが、現在は試合形式ではなく、その伝統的な技を型として、演武やスタントなどのショー形式で見せることで引き継がれています。
ステップ(歩法)
踏み込みから打撃をスムーズにつなげるために必要な大切な技術です。
ムエボランには、次のような基本ステップがあります。
基本型
拳、肘、膝、足を使うムエボランの技は、以下のように大きく分類できます。
基本型一覧 (pdfファイル)
型
メーマイ
Mae Mai
ルークマイ
Luk Mai
「母なる型 Mae Mai」として基礎となる15の重要な型があります。ムエボラン学習者がまず最初に習得すべき一連の技です。
さらに「子供の型 Luk Mai」として15の基礎の型があります。
メーマイ15型一覧 (pdfファイル)
ルークマイ15型一覧 (pdfファイル)
タイの人々は長い間、象と深く関わりながら生活しており、象を特別な存在として親しみ、敬意を払っています。
ムエコチャサンとは、象の鼻、牙、足など、象の動きそのものから生まれた闘う象の型です。
グランドマスター・サネー(Grand Master Sane Tubtimtong)が編纂し、トニー・ジャー(Tony Jaa)の映画で多用されていることで有名です。